農薬の安全性 小野まるしょう農園

さくらんぼなど果樹の農薬使用に不安をお持ちの方も多いと思いますが、安心して当園の果物をお召し上がりいただけるように、ここでは果実に付着する農薬の使用基準や安全性などについてご説明します。

農薬の種類

果樹園で使う農薬は大きく分けて次の3種類です。

殺菌剤

果実の灰星病・黒星病など、葉の褐色せん孔病など、病気を予防するための農薬です。

殺虫剤

果実や葉、幹などを食害したり吸汁したりする害虫を減らすための農薬です。

除草剤

草を枯らす、また生え難くするための農薬です。

当園の農薬使用について

当園では、殺菌剤と殺虫剤を使用しています。除草剤は農園の周囲にのみ使用しています。
適期防除による減農薬

さくらんぼや桃などの果物にはそれぞれにJA等で定めた病害虫防除暦があって基本的にはこれに従いますが、天候や害虫の付き方などを良く観察して効果的な防除を行うことで結果的に農薬散布回数を減らします。例えば、
@ダニの発生が見られたら早い段階で殺ダニ剤を散布する。早い段階で防除しておけば1度の
 薬剤散布で済むが、発生が増えてからの防除では2度3度と薬剤散布しなければならない。
A晴れの日が続くときには病気は発生しにくいので、殺菌剤の散布を1回減らす。

病気を発生しにくくすることによる減農薬

雨が多いと湿度が上がって果実が病気にかかりやすくなります。例えばさくらんぼの幼果期(小さい実の時期)には、散った花びらや実に成らなかった花の残骸が落ちきらずに枝に残っていて果実にも付着しています。この状態で雨が降ると果実と一緒に花びらなどの残骸も濡れますが、残骸は雨が止んでも乾きにくく、これが付着している果実も長時間乾かず濡れた状態になるため病気になりやすいのです。
これを防ぐために残骸を風で飛ばしたり、幼果期には雨が降ったらビニールを広げて雨に当たらないようにしたりします。

害虫が付きにくくすることによる減農薬

ダニは木の下草から移ってくるということですので、草刈りはこまめにして高い草を放置しないことや、さくらんぼの食べた後の種を下に落とさずに集めておいて園外に持ち出すことによってオウトウショウジョウバエの発生を減らすことなどです。カイガラムシはワイヤーブラシで擦り落とせば農薬による防除を減らすことができます。

いろいろと減農薬の工夫はしても無農薬で果物を作ることは私には難しいです。
さくらんぼが全部腐ってしまったら、オウトウショウジョウバエが大発生してしまったら、...
さくらんぼ狩りも出荷・発送もできませんので、以下の安全基準を厳守して農薬を使用しています。

農薬の使用基準について

農薬の使用基準として、「残留農薬等に関するポジティブリスト制度」というものがあり、2006年5月から施行されています。

 

ポジティブリストとは

各農薬の成分に対して許容残留濃度を設定し、果実への農薬付着量がその値以下であれば流通しても良いというものです。
残留基準が定められていない農薬成分については、人体に悪影響を及ぼす恐れが無い量として設定された一律基準の0.01ppmが適用され、やはりそれを超えるものは流通できないことになります。

2006年より前のネガティブリスト制度では、超えてはならない農薬の残留値が決めたられたリストがあって、そのリストに載っている農薬成分については規制できますが、残留基準値が設定されていない農薬成分はどれだけ残留していても規制できない、というものでした。
ポジティブリスト制度の施行により安全性は大幅に向上したことがわかると思います。

農薬残留基準値の決め方

無毒性量(NOAEL)

No Obserbed Adverse Effect Level の略で、動物を使った毒性試験で有害性が認められなかった最大用量のことです。
この量以下では一生涯、毎日摂取しても、病気などの悪い影響が出ないということを意味しています。
対象動物の体重によって絶対量は変わりますので、通常、1日当たり、体重1kg当たりの農薬物質の量で表します。

一日許容摂取量(ADI)

Acceptable Daily Intake の略で、人がその農薬物質を一生涯、毎日摂取しても安全な量のことです。
1日当たり、体重1kg当たりの農薬物質の量で表わされます。
一日許容摂取量は無毒性量に安全係数1/100をかけた量として決められています。
つまり、(一日許容摂取量)=(無毒性量)×(1/100)ということになります。

安全係数1/100は、試験動物と人との差1/10と、子供などの影響を受けやすい人とそうでない人との個人差1/10をかけたものとされています。それぞれ最悪でも10倍の差はないということから決められたようです。

残留農薬基準値

人が摂取しても問題ない量は一日許容摂取量(ADI)以下であれば良いことになりますが、農薬が付着残留した果実から摂取するもの以外に大気や水からの摂取も考慮して、果実への残留農薬許容値はADIの80%以内となるように決められています。

残留農薬基準を満たした農薬散布について

各農薬には必ず対象作物に対する使用方法が明記されています。
例えば、さくらんぼに使う殺虫剤スプラサイド水和剤の場合には、
希釈倍率:1500倍、使用時期:収穫7日前まで、使用回数:3回以内(1年間)となっていて、
この使用方法を守って使用していれば基準を超えた農薬が果実に残留する恐れは無い、ということになります。
当然、当園でも使用方法を厳守して農薬を使っています。

 

まとめとして

果物の残留農薬は、人がその農薬物質を一生涯、毎日摂取しても安全な量を絶対に超えないような基準となっていて、その基準を満たす方法で農薬を使用していますので、子供でも誰でも悪影響はありません。
また、さくらんぼや桃などJAに出荷された果物は抜き取りで残留農薬の検査が行われますが、これまでに基準を超えた残留農薬成分が検出されたことはありません。

 

安心してお召し上がりください!


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